インターネットの普及によって、誰でも簡単に大量の情報にアクセスできるようになった現在においては、誰もが「おっ」と思うような面白い広告でなければ人々の記憶に残ることは難しいでしょう。では、面白い広告とはどのようにして作ればよいのでしょうか。その答えにたどり着くのは必ずしも簡単ではありませんが、いくつかコツはありますので、ここで順に見ていきましょう。

面白い広告の重要性

そもそも、広告が面白いものである必要はあるのでしょうか。広告は商品やサービスの売上を伸ばすために行うものである以上、それらがどういったものであるのかが伝われば、わざわざ面白くしなくてもよいのではないかと考える方もいるかもしれません。

しかし、広告が流れるのはテレビ番組の合間であったり、動画配信サービスでコンテンツを視聴している途中なのが一般的です。多くの消費者にとって、自分が見ている映像の合間に流れてくる広告は邪魔なものでしかなく、その内容に面白みがなければ見てもらえないだけでなく、場合によってはそこで紹介されている商品やサービスに対して嫌悪感を抱かれてしまうかもしれません。実際、スマホの有料アプリのダウンロードサイトで広告ブロッカーが最上位に来たことがあるという事例を見ても、いかに広告が人々に嫌われる存在であるかが分かるのではないでしょうか。せっかく広告を流しても嫌悪感を持たれてしまっては逆効果ですので、そうならないようにするために、なるべく広告は好意的に見てもらえる面白いものにした方が良いでしょう。

心理学の世界に「初頭効果」という言葉が存在します。これは、人間は最初に得た情報に最も影響を受けるという概念です。広告を通じて、初めてそこで紹介されている商品やサービスを目にするという人は少なくないはずですので、その内容が面白いものでなければ商品やサービス自体もつまらないと感じられてしまい、後からその印象を覆すことは非常に難しくなってしまいます。逆に、印象に残る面白い広告を制作できれば、競合に差をつけられる可能性も高まるでしょう。

面白い広告を作るためのポイント

では、面白い広告はどのようにして作ればよいのでしょうか。これにはいくつかのコツがあるのですが、その中の一つに商品やサービスを自虐して見せるというやり方があります。多くの広告が商品などの良さをアピールする中で、自虐ネタを繰り出すのは勇気が要りますが、それだけ人々に強いインパクトを残せるため、うまくいけば抜群の広告効果が得られます。ただし、そのためには商品やサービスがもともとある程度知名度があり、かつ好感度も低くないということが前提条件となります。世間に知られていない商品を自虐してもかえって反感を買う可能性がありますので、その点には注意が必要です。

二つ目の方法は、人々が自分のことを言われていると感じるキャッチコピーを活用するというやり方です。この「言い当てる」という方法はコピーライティングの世界では一般的な手法ですが、人々は自分に対して向けられた言葉であると感じるとどうしてもその内容を無視できなくなってしまう傾向にありますので、この手法をうまく活用すればしっかりと内容を見てもらえるようになるでしょう。もっとも、すべての人を言い当てる言葉というのはそれほど簡単に見つかるわけではありません。そのため、例えば商品やサービスがターゲットとしている層を絞り込んで、それらの人々に向けた言葉を見つけて広告に盛り込むようにすると効果的です。

他にも、人々の共感を誘うような内容にしたり、人々が関心を持てる内容を盛り込んだり、極端にクリエイティブな映像を使ったりするというのも面白い広告作りのコツです。これらは一つだけでなく、複数のやり方を組み合わせるというのも一案です。

面白い広告で差別化を図ろう

ここまで見てきたように、面白い広告を作るのは決して簡単ではありませんが、実際に作って世に送り出すことができれば大きな反響が得られるため、競合に差をつけることが可能になります。そのため、思うように広告の効果が得られないと悩んでいる方は正攻法のコピーライティングに頼るだけでなく、少しひねった面白みのある広告作りを意識してみると良いでしょう。