マーケティングでは、担当者が受発注やクレーム処理などに忙殺されて顧客管理を疎かにしてしまうケースがしばしばあります。その場合では、リード(見込み顧客)に対して適切なアプローチができていない可能性が高いです。効果的な営業のためには、リードの管理を効率よく行うことが重要です。今回は効率的な顧客管理のために、リードの分類の仕方を中心にご紹介していきます。
リードの意味と分類の重要性
リードは見込み客を意味します。見込み客は現時点では成約に至っていないものの、将来的な期待値は大きい存在です。事業を成長させるためにはWEBサイトで魅力を発信したり、電話やメールを用いて積極的な営業を行うなど、リードを増やすための企業努力が欠かせません。しかし、努力の結果としてリードが増えたのに思ったように成約に至らず、業績が伸びないケースがしばしばあります。いくら見込みが強くても、成約に至らないのであれば、広告などのコストはかかっても売り上げには繋がりません。
対策としては、リードに対してのアプローチを最適化することで売買なら取引成立、店舗経営なら来店してくれる可能性が高まります。ここで重要なのが、リードにも個性があるという点です。一概に見込み客と言っても、詳しく自社の情報を知って今まさに吟味している場合もあれば、最近興味を持ってリサーチし始めたというケースもあるでしょう。このように、リードには知識や自社に対しての興味・関心のレベルに違いがあるため、全員に同じアプローチを行うのは適切ではありません。
効果的なマーケティングのためには、リードを一定の基準で分類し、グループに分けることが大切です。そして、グループごとに適切なアプローチを考えていきましょう。このリードのグループ分けが、顧客管理の重要ポイントと言えます。
リードを分類するのに使えるモデル
リードの分類には、「Demand Waterfall」モデルを使うことができます。このモデルは市場分析などが得意な米国のシリウスディシジョンズ社が手掛けました。分類の仕方としては、見込み客のポテンシャルから4つの階層に分けるのが特徴です。具体的には
1.Inquiry、
2.Marketing Qualification Lead、
3.Sales Qualification Lead、
4.Close
この4つに分類します。1はリードの自社への関心が最も薄い状態で、4に向かうにつれて興味が強まります。アプローチ方法も1では控えめに留め、4に近づくほどに積極的に行います。
それでは、「Demand Waterfall」モデルを詳しく見ていきましょう。
まず、1.Inquiryはリードから最初のコンタクトがあった段階です。Inquiryは問い合わせを意味しますが、それだけに留まりません。資料請求があった他、査定や見積もりの依頼も含まれるでしょう。このInquiryについては、インバウンドとアウトバンドの考え方が大切です。インバウンドは顧客側からのアプローチを待つ形で、リードを獲得します。対して、アウトバンドは外回り営業などで積極的にアプローチし、リードを獲得する方法です。近年はインバウンドも見直され、用いられるケースが増えてきました。
2.Marketing Qualification Leadは、Inquiryで獲得したリードに対して、こちらから自社の魅力を発信する段階です。具体的には、顧客に対しての資料の送付や問い合わせへの返答を行います。他にも、セミナーなどのイベントを利用するのも選択肢です。
次に、3.Sales Qualification Leadでは、いよいよ自社の営業スタッフがリードに対して直にコンタクトを取っていく段階になります。この段階では、顧客の希望やなぜ迷っているのかを直接リサーチして、深く理解していくことが重要です。顧客のニーズを深く理解して最適な提案を行い、成約率を高めていきます。なお、3については飛び込み営業などでリードに直接コンタクトした場合、2.Marketing Qualification Leadの段階を省略して、その場でリサーチと提案を行うことも可能です。
最後の4.Closeは、リードに担当者が行った提案が現実に成約となる段階です。具体的には、提案に対しての発注や取引、来店が行われるプロセスとなります。
リードを増やし成約率を高めるために
「Demand Waterfall」モデルを念頭に、リードの獲得から成約までを「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」に分けて考えることが大切です。リードジェネレーションはまだ見込み客になってない、いわゆる潜在顧客に対してアプローチしてリードを獲得していく段階となります。まだ1.Inquiryに達していない対象を見込み客にするために、具体的には名刺交換やキャンペーン告知などを行うのが一般的です。リードと言えるほどの期待性はなくても、興味・関心を持ってくれるターゲットを増やしていく段階となります。
リードナーチャリングは、InquiryからCloseまでの一連のプロセスに対する戦略のことです。ここでは、問い合わせがあってからどう成約に導くかを考えます。継続的にアピールするだけではなく、一旦は見込みがなくなった顧客への再アプローチも重要です。また、アフターサポートを充実させ、関係を継続させることもリードナーチャリングでは大切になります。
顧客管理は分類から
ここでは、リードの意味や成約に導くまでのプロセスについて見てきました。見込み客は新たに獲得することも大切ですが、同時に顧客管理を徹底し、成約率を高める工夫も重要です。顧客管理においては、リードの分類モデルを参考に基準を決めて、成約に至るまでのプロセスを最適化していきましょう。加えて、各プロセスにKPIを用いれば視覚的にもわかりやすくなるため、検討してみるのがおすすめです。